カービィくんのおへや

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「さいたまが俺を呼んでいるんだ」岡崎体育のネクストステージへと続く1枚『SAITAMA』感想

2018年10月8日、NHKラジオ第一にて放送された番組「岡崎体育の日」にて彼はある"重大発表"を行った。


それは、念願のさいたまスーパーアリーナでのワンマン公演を2019年6月9日に開催するという発表だった。
そこから1月が経った11月12日、突如3rd Album「SAITAMA」の発売を発表。
タイトルからもわかるように、このアルバムはさいたまスーパーアリーナ公演に向けて制作された1枚であり、岡崎体育の既存作品と比べても非常に異端な作品である。
何故ならこのアルバムにはネタ曲が1曲も収録されていない
岡崎体育といえば所謂「MUSIC VIDEO」や「感情のピクセル」などに代表される『ネタ曲』と、「スペツナズ」や「式」などの『真面目曲』に分類されるのだが、SAITAMAには前者のネタ曲が1つも存在しない。
つまりこのアルバムは岡崎体育の真面目な部分しか収録されていない本気の1枚であると共に、一種の賭けでもある勝負の1枚なのだ。

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白いジャケットが初回限定盤

アルバム概要

収録曲は12曲、総再生時間は43分。
初回限定版のDVDにはROCK IN JAPAN FES.16~18のダイジェスト映像が収録されている(20分)
岡崎体育のライブ映像がDVD化されるのは今回が初めてであり、普段CS放送でもあまりOAされないライブ映像を特典に付ける所からも、今作の本気度が伝わってくる。

収録曲感想

(ここからは語彙力と偏差値が多少低くなります)

01. No Touch Service Ace

OPSE的な一曲。
この曲からからだにノンストップで繋がるようになっている。

02. からだ

6thインディーズアルバム「DESKTOP」からの新録。
ラップ調の歌詞が次から次へと流れていく、息も付かせぬように言葉がどんどん流れていく疾走感がとてもいい。
「さいたまが俺を呼んでいるんだ」という歌詞こそが、このアルバム、そしてさいたまスーパーアリーナ公演へ籠めた想いをすべて表現していると思う。

03. PTA

PTAとは読んで字のごとく「Parent-Teacher Association」、保護者と教職員で構成される組織のこと。
PTAの会長と会員の不倫を歌っている歌詞なのだが、サビでは同じ文が続きとても耳に残りやすい。すぐ口ずさめるほどに頭にも残る。
間奏パートもかなり力が入っていて、いきなりコーラスが入りだす。ラストサビもなんかオシャレ。洋楽聴いてるんかなっていうぐらいキレイ。
あと桑の実という歌詞にもちゃんと意味があることを聴いてびっくりしました。ボキャブラリーがすごい

04. 弱者

大学でのスクールカーストを題材にしたラップ調の曲。


この映像のバージョンからさらにブラッシュアップ、2番以降の追加が行われている。ステレオの2チャンネルを巧みに使った音の割り振りが丁寧で、イヤホン等で聴くとそのこだわりの強さが感じられる。
リアリティのある歌詞、そして「慣れんな戯れんなほたえんな 俺は強くない」という歌詞が特に心に刺さる。
曲中も様々な所で嘆きが挿入されている。
サビも中毒性が高く、サビから入ってくるハモリパートの絶妙な高さがとても好きです。

05. なにをやってもあかんわ

ここまでの曲調とは一転し、バンドサウンドの曲になっている。
歌詞の暗さと対をなすような音作りになっていて、なんとなく元気の出る「なにやってもあかんわ~~~」みたいな投げやりな感じの曲調なのがとてもいい。
ラスサビ前でペチッ…ペチッ…と鳴り響く腹太鼓の音が絶妙に抜けた音で面白いです
バンドメンバーも豪華で、

  • Vo.岡崎体育
  • Gt&cho.クズノ(THE PARTYSやWEIRDのギター、「スペツナズ」や「鴨川等間隔」のギターも担当)
  • Ba&cho.白井達也(愛はズボーン)
  • Dr&cho.鈴鹿秋斗(夜の本気ダンス)
  • 腹太鼓&cho.よっしー(岡崎体育の地元の友達、よく一緒にフォートナイトやったり一般人なのに岡崎体育のラジオに出たりしてる)

と、まさに岡崎体育オールスターズといったメンツが参加。レコーディングの様子はNHK「ノーナレ」で見ることができる。

06. 確実に2分で眠れる睡眠音楽 (Interlude)

毎作ネタ曲と真面目曲の境界となっているInterlude曲だが、今作もこの曲を境として作風がかなり変則的なゾーンに入る。
集中して聴いてると本当に寝そうになる

07. Calculated

ここからも真面目曲だが、Skream!でのインタビューで語っていたように「インディーズ時代に原点回帰して制作した」曲が並んでいる。
この曲も歌い方が他の曲と比べてかなり荒々しく、サビで叫び倒したりと「県境」を連想させるようなパワーと疾走感を兼ね備えている1曲になっている。
「Calculated」の所でブレイク入るのがめっっっちゃカッコいい
サビの頭の所、歌詞カードに「ワァアアアアアアァァァ!!!!!!!」って書いてあるとは思わなかった(ちょっと面白かった)

08. Okazaki Unreal Hypothesis

「Okazaki Child Management」や「Okazaki Hyper Gymnastic」などのOkazakiシリーズでは久々の新曲となる。(曲に統一性があるというわけではない)
メロディーラインや旋律、サビを通して独特な空気感があり、まさにUnreal(非現実的)なふわふわとした曲になっている。
2番Bメロはこの曲の空気感、世界観の最高潮で、そのままラストサビに突入しフェードアウトで余韻を含ませて終わる、他の曲とは一風変わった非現実さがクセになる。

09. Jack Frost

この曲にもクズノがギターで参加している。
Jack Frostの意味は歌詞からも想像できるように「極寒」。
この曲も他と変わった曲で、ギターの入ったミドルテンポの曲となっている。「スペツナズ」を思わせるような曲調。
サビのロングトーンボイスがとってもすき。

10. 私生活

5thインディーズアルバム「FICTIONAL ZODIAC」からの新録。
生音でのリアレンジが施されていて、「キミの冒険」の編曲を手掛けた野村陽一郎氏がギター、ベース、打ち込みと音響監督を務めている。
間奏からのラストサビへ少しずつテンポが上がっていく感じが好きです。
田舎ってスーパーが少ないから夕方ぐらいに行くと大体同級生がいたりするんですよね、これも一種のあるあるを歌った歌に分類されるのかも
あと試食が見られてたら恥ずかしいから止めたとかもほんと経験ある~~!!ってなってまた自分と歌詞の主人公を重ね合わせてみたり…

11. 龍

前述した「岡崎体育の日」にてさいたまスーパーアリーナ公演を発表した日の夜にホテルで書き綴った詩を元にして制作した曲。
このアルバムで一番好きな曲です。
音はピアノと岡崎体育のボーカルのみ。哀愁を誘うピアノの音と丁寧に歌い上げるボーカルの声が融合し、幻想的な世界観を紡いでいる。
僕は龍を聴く度に泣いてしまう体質になってしまった
この曲を聴くと実家の学習机で1人制作をしている岡崎体育の姿が思い浮かんで、ファンクラブ関係で色々あったりしたこととか曲を作るのって大変なんだろうなぁ…とか色んな思いがぐちゃぐちゃになって泣いてしまいます(ライブで聴いた時大号泣した)
CDで聴く度に泣きそうになる、ほんとこの曲すごいと思います

12. The Abyss

abyss=深淵。
6thインディーズアルバム「DESKTOP」に収録されている「BASIN TECHNO」という曲とライブで披露していた「Q-DUB」をミックスし再構成した曲。
アルバム内で最も歌詞が短い。そのくせ冒頭2行で韻を踏んでくる。すごい。
ライブではOpenと同じように、ラスト45秒で客を煽り全員でジャンプする。
Wikipediaによると、

深淵(しんえん)とは、深い淵や水の深く淀んだ場所を指す語。英語の“abyss”に対応する。
フレッド・ゲティングズ著『悪魔の辞典』によると、悪魔学においては「進化の終着点」を意味し、すなわち人間の行き着く最後の未来を意味する。
深淵 - Wikipedia

進化の終着点、つまり「大事なものを無くして 大事なものを見つけた」岡崎体育という1人のアーティストの行き着く最後の未来こそが、この曲には内包されているのではないだろうか。

DVD感想

ここでは出演時のセットリストを全曲掲載していますが、映像に収録されている曲には別途★がついています。

2016

8月14日、4日目のPARK STAGEに2番手でロッキン初出演。ステージ規模は8,000人。3番目に大きいステージ。Mステ初出演の際に「Explain」の映像が使用された。
5月のメジャーデビュー直後であるにも関わらず、いきなりPARK STAGEでの出演を果たす。(ちなみに同日、メジャーデビュー前のヤバイTシャツ屋さんが規模4,000人のWING TENTに初出演している)

M1 ACCESS
M2 Explain ★
M3 MUSIC VIDEO ★
M4 Call on
M5 Voice Of Heart2
M6 FRIENDS
M7 Q-DUB

ACCESSはフル
MC「ただいまロッキンジャパン」
Explain(ラストサビ)
MUSIC VIDEO(1番Aメロ一部、ラストサビ)
MC「客多すぎて拾えない」

2017

8月5日、1日目のLAKE STAGEにトリで出演。ステージ規模は10,000人。2番目に大きいステージと着実にステップアップしているものの、GLASS STAGEでデビュー28年にして初出演となるB'zとタイムテーブルが被ってしまい、あまりの大物とのタイテ被りに、「B'zの裏はキツい」という新曲が誕生してしまった。(ちなみにこの年のCOUNT DOWN JAPANにおいては京都の先輩(?)10-FEETと被ってしまい「10-FEETの裏はキツい」という新曲(?)が誕生してしまった)

M1 B'zの裏はキツい ★
M2 Open ★
M3 Explain
M4 Walk Of Death ★
M5 Voice Of Heart2
M6 感情のピクセル
M7 FRIENDS
M8 Q-DUB ★

B'zは途中まで
Openはラストの煽りジャンプ
Walk Of Deathは割ってから戻るまで
Q-DUBはラスト45秒

2018

8月12日、4日目のGLASS STAGEにトップバッターで出演。規模はなんと60,000人。3年連続出演にして初のGLASS STAGE。前2年とは雰囲気が異なり、ガンガンに盛り上げ曲から有名曲までを織り交ぜ、60,000人を踊らせる盛りだくさんなセットリストになっている。が…トップバッターということもあり、開場して間もない観客が朝食を食べたり物販に並んでいるのが気に食わなかったのか、今年も新曲「物販行ってるやん」が誕生してしまった。

M1 物販行ってるやん
M2 Stamp ★
M3 R.S.P
M4 Walk Of Death
M5 FRIENDS ★
M6 感情のピクセル
M7 MUSIC VIDEO (Short Version)
M8 キャラクター
M9 XXL
M10 The Abyss

Stampは足踏み部分若干カットあり
MC「仲間のいるバンドが嫌い」
FRIENDSは1番サビと2番からラストオチ前まで
感情のピクセルはイントロとラストサビ
言霊(さいたまスーパーアリーナ)

フル収録曲はACCESSのみだが、岡崎体育のライブの楽しさが濃縮された20分となっている。
ステージが大きくなるにつれて体型も大きくなっている。ブクブク太っているのがよくわかる。は?

さいごに

笑い無し、自分の作りたい曲のみで構成された最新アルバム。
バラエティに富んだ様々な楽曲の数々からは「岡崎体育の本気」が感じ取れる、そんな1枚だ。
さいたまスーパーアリーナに向けての真剣な思いが溢れんばかりに詰め込まれている。
マイクロフォンの呪縛に囚われない独自の盆地テクノを貫く岡崎体育。その眼はさいたまスーパーアリーナのその先をも見据えているのかもしれない。

SAITAMA(初回生産限定盤)(DVD付)(特典なし)

SAITAMA(初回生産限定盤)(DVD付)(特典なし)

SAITAMA(特典なし)

SAITAMA(特典なし)